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今から30年以上前のことです。リーボック本社のスタッフが日本にマーケットリサーチに来たのですが、明治通りを歩いていると「どうして日本の若者は街でも『グレゴリー』のデイパックを背負っているんだ?」と聞かれました。彼曰く「アメリカでは学生が街で使うデイパックは『イーストパック』『ジャンスポーツ』『アウトドアプロダクツ』といったブランド。街中で使うなら充分でしょ?」とのこと。当時の日本の若者はホンモノ志向で、原産国にこだわったり、ワンランク上のクオリティのモノを持ちたがるという話をしたら、「ほとんどのアメリカ人は理解できないだろうなぁ。足元もレッドウイング履いてる若者が多いし…」と、彼は笑っていました。

あれからときは流れ、自分たち世代がファッションアイテムに持っていたこだわりは、主流派ではなく、若年層において洋服に過度なこだわりを持つ比率は、30年前とは比べようもないくらいに低くなりました。実際に「ユニクロ」や「GU」「H&M」「ZARA」といったブランドは、リーズナブルな価格で、そこそこいい服をつくり、いまの若者はそれを上手く着こなしていますよね。

そんな状況で、先日伺ったある展示会で衝撃を受けました。それがNBAの遺伝子を受け継ぐファッションブランド〈OFF THE COURT (オフ ザ コート )〉。正直いうと自分は、’90年代にリアルなチャンピオン製のリバースウィーブのチームスウェットを仕事の合間に探していたように、このカテゴリーには一家言あります。薄手のボディのチームスウェットならボストン中心部の「CITY SPORTS」や「CHAMPS」「FOOT LOCKER」でも買えたんですが、それが嫌で、当時ボストン セルティックス(NBA)とボストン ブルーインズ(NHL)の本拠地だったボストン ガーデンのファンショップまで、リバースウィーブのチームスウェットを買いに行ったほど。それだけに今回のコレクションもいままでのライセンスコレクションと同じように、汎用品だと思って、あまり期待していなかったんですが、いい意味で予想を裏切られます。展示されていたスウェット素材は、表面のシャリ感、厚み、重量etc.ホンモノ志向の人も納得の生地を使用。肌触りなどはリバースウィーブと若干違いますが、ロサンゼルスアパレルの14ozスウェットっぽい質感で、素晴らしい。しかもリーズナブルな価格を実現しているのもありがたい。放射冷却で急速に冷えた4月末の深夜、これを着て地元高円寺の街を歩いていると、ドック リバース、ディー ブラウン、ダニー マニングetc.といったNBAプレーヤーが来日した際、一緒に食事を食べに行ったことを思い出しました。

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