2年前、外苑前のイタリアンで先輩と食事をしていた時に、その店はほぼ大きなL字のカウンターが支配しているような空間で、僕らは一番端っこに座っていて、我々が座っていた端の最も離れたところ、つまり、「L」という文字の右下と左上の離れ具合だったんだけども、よく目が合う、目つきの鋭い人がいるなと思った彼は、食事終わりですれ違いざまに「やっぱマットじゃん、久しぶり。そうかなと思っていた!」言って、連絡先を10年ぶりに交換した。その後、連絡取り合いながら、かつ、共通の友人の助けもあり、彼との距離が10年前に初めて会った時よりも近づいて、色々と話して、本当に刺激を受けた。
こんな同世代がいるのか!と人生において衝撃を受けるような体験はそれまでに一度しか、一人しかいなかったのだけども、二人目がここにいたのか、と思った。心底ビビった。
ある日、「マットさあ、交渉の最強の一手ってなんだと思う?」ということを言いながら、交渉をしてきた彼は、その後コーヒーをご馳走してくれて、またね。飯でも行こうねと言っていた。結局何も一緒にはできなかったのだけれども、それはそれで良かったと今は思っているのだけども、またすぐに会うだろうし、と思いながら一年経ち、会えなくなってしまった。
呼びようのない空虚さと向き合っている。こんなことがあるのか、と。私よりもはるかに彼に近かった人たちほどではないのかもしれないけども、俺も悲しい。
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