編集部の村松がリポートする2026-27年パリメンズコレクションの模様は5日目です。この日は今回のファッションウィークのなかで唯一、一日をとおして天気がよく快晴。パリの街から活気が感じられ、主要な駅や名所の周りはひとであふれていました。
午前9時過ぎからショーを行ったのは〈コム デ ギャルソン・シャツ(COMME des GARÇONS SHIRT)〉です。いつもとおり、ヴァンドーム広場の「コム デ ギャルソン」パリ本社が会場になりました。
驚いたのは、キーとなるファーストルックが全身黒だったこと。「コム デ ギャルソン」社のブランドにとって黒は特別な意味を持つ色ですが、先にコレクションを披露した〈コム デ ギャルソン・オム プリュス〉〈ジュンヤ ワタナベ マン〉を含む3つのブランドが今回揃って黒を全面に打ち出しました。


このブランドに欠かせないシャツやニットは、グラフィックをあしらったものが目を引きました。そのグラフィックというのはアーティストの髙田唯と小林一毅、二人の作品です。これがキャンバスのようなプレーンなアイテムに個性を与え、その存在を際立たせていたように感じます。そして、〈フレッドペリー〉のポロシャツや〈アシックス〉のスニーカーといったコラボアイテムもアクセントに。
「BLACK」という明快な言葉をテーマに持ってきた〈コム デ ギャルソン・シャツ〉。今回のファッションウィークを通じて、「コム デ ギャルソン」社の各ブランドが意図的に使ったと思われる黒の色の意味についていろいろと考えさせられました。







今回のファッションウィークで注目を集めたブランドのひとつが〈ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)〉です。このブランドを東京の舞台から世界の舞台へと押し上げ、20年にわたり牽引してきたデザイナー相澤陽介のラストシーズンで、積み上げたコレクションの数が40になる節目のタイミングです。
期待高まるランウェーにまず登場したのは、ブランドの名前をそのまま映し出したような白のスタイル。そこからグレー、ベージュ、ブラウン、パープルと移り変わって行く、潔い単色のスタイルが非常に美しく、余韻を残しました。
テーマは「Post De Stiji」。色を装飾的な役割から解放し、服の構造や機能、そして体の動きを際立たせるものとして捉えたと、アイデアの一端をプレスリリース上で明かしています。「デ・ステイル」とは20世紀前半のオランダのデザイン誌であり、具象芸術と対照的なアートです。
改めて考えてみると、相澤が現代ファッションの新たな領域を切り開いたことは間違いないはずで、このブランドで打ち出したアウトドアウェア×ファッションの手法は革新的でした。限りある時間のなかで、遅かれ早かれデザイナーの交代というのはどんなブランドにも起こりうることですが、これから相澤が去った〈ホワイトマウンテニアリング〉のネクストフェーズに注目が集まります。








赤の絨毯に赤の幕。劇場のような舞台に姿を現したのは、口笛を吹く一人の女性でした。〈マリアーノ(Magliano)〉のショーのテーマは「UNPLUGGED」。プラグを抜く、つまりこのワードはアナログな方法=口笛演奏を今回のショーにおいては指しています。



口笛が会場に響くなか、姿を見せたのはキャラクターの異なるひとたち。ホワイトカラー風からブルーカラー風まで、ひとりひとり物憂げな表情で円形のランウェーを歩く、ノマドな雰囲気です。
これに合わせて服もどこかいなたい雰囲気で、肩が張ったテーラードジャケットや腰回りがゆったりしたチョークストライプのスラックス、つなぎ、やれたレザージャケット、素朴なセーターなど、どれもいい表情をしています。
配られたプレスリリースには「バリケードとキスの街、パリがコレクションの最後の目的地になる」とのメッセージが。これはどういう意味なのか、今後の〈マリアーノ〉の動きが気になります。








〈ビューティフルピープル(beautiful people)〉はパリでのプレゼンテーション開催に合わせて、ミニショーを行いました。ファッションウィークの公式カレンダーには入っていないものの、緻密に計算されたユーモアあふれるクリエーションを世界に向けてアピールしました。
その会場では普通目立つところに設けない舞台袖をランウェーの真正面に配置。出番を待つモデルひとりひとりにスタッフが指示する様子も演出として見せてしまうところはさすがといえます。
披露された服は、これまでと同様にトラッドやワーク、ミリタリーといった要素を下地に、〈ビューティフルピープル〉ならではのギミックを散りばめています。服をひっくり返すことで24通りものの着こなしが楽しめるつくりや襟を裾にも付けて180度反転して着れるジャケット、キッズシリーズという大人のための子供服など、多彩な品々です。
〈バラクータ〉〈ディッキーズ〉〈ナンガ〉〈プラスフェニックス〉〈ジンズ〉〈ハローキティ〉などバラエティ豊かなブランドとのコラボアイテムも特徴といえるでしょう。





この日はショーとショーの間に、〈アグ(UGG®︎)〉の展示会に顔を出しました。「UGG®︎ STUDIO」という名の空間のテーマは「FROM HERITAGE TO REINVENTION(ヘリテージから再創造へ)」。
会場にさまざま並ぶ新作のなかで、まず手に取ったのは「タスマン クロック」です。これは名作「タスマン」の進化版で防水レザーにビブラムソールを合わせた機能的なモデル。クセの無い美しい姿をしているので、さまざまなスタイルに使えそうです。

「タスマン クロック」は写真の色に加えて、黒のタイプも。今年の2月4日発売予定。
続いて紹介する「タスマン アルバイト」は、緻密なレザーの編み込みが特徴的な二足。エスニックな雰囲気漂う、唯一無二の素敵なルックスをしています。


「タスマン アルバイト」のレザーの編み込みは手作業。こちらも今年の2月4日発売予定。
会場ではイニシャルをその場で入れられるレザータグのワークショップに加えて、創業当時の貴重なブーツも展示。改めて〈アグ〉の魅力を知ることのできる機会になりました。

笑顔を見せる3人の左が〈アグ〉の創業者、ブライアン・スミス。若かりし頃の一枚。

創業から間もない頃につくられたムートンブーツ。なかなかお目にかかれない一足で、ヒールにロゴラベルが縫い付けられている。

レザータグを使ったワークショップの模様。
この日の最後に行われた〈エルメス〉のショーの模様は、次のブログで紹介します。



