BLOG - フイナム編集部

Day 3:Paris Fashion Week 2025AW

編集部の常重が現地からお届けする、パリメンズファッションウィーク。この日あたりから石井と別行動が増えてきましたが、もう1人でも地下鉄もバスも余裕です。なんとかなるもんですね。

まず向かったのは〈ゴールドウイン(Goldwin)〉の展示会。

工事現場をモチーフにして設営されたという展示会場。地下には〈ゴールドウイン ゼロ(Goldwin 0)〉が、1階には〈ゴールドウイン(Goldwin)〉のアイテムがそれぞれ展示されていました。

〈ゴールドウイン ゼロ(Goldwin 0)〉といえば、人体構造に基づいた3Dボックスバッフル構造を用い、少ないダウン量で高い保温性を誇るアイテムとして人気を博しているわけですが、今回の新作ではデザインにさらに一捻りを加えたアイテムに目を奪われました。

本来裏側にありそうなディテールをあえて表側に付けたジャケットに、花びらから着想を得た縦に縫製が施されたもの、そしてリフレクター付きのカットソー。〈ゴールドウイン ゼロ〉の新たな挑戦の幕開けのシーズンになりそうです。

〈ゴールドウイン(Goldwin)〉の展示方法も凝っていました。ワイヤーで吊られたジャケットそれぞれにスマホが3つずつ付けられ、そこではディテールや着用したときの見え感などの映像が。実験空間みたいでワクワクしました。

パリでは「カングー(KANGOO)」が本当に多く走っています。さすが母国。日本では乗用車として人気の高い車種ですが、ここパリでは働くクルマとして郵便配達などに使用されているケースが多いみたい。あらためて街並みにマッチするかわいいクルマだなーと、道中パシャリ。

ちなみに石井は地下鉄派ですが、ぼくはバス派。だって景色が見られますからね。気になる建物やショップが車窓から見えたら途中下車してぶらり。ツウっぽくていいでしょ。

向かうはパリで初のショー披露となる〈アイム メン(IM MEN)〉。前シーズンまでの〈オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE)〉に代わって公式スケジュールに追加されました。

とくに記憶に残っているのがワントーンのスタイリング。色気という表現が合っているかは分かりませんが、余白感、リラックス感、そのなかに感じる確かな“和”のエッセンスに、艶やかさと奥ゆかしさをみました。

ランウェイのモデルを見ていると一見ハードルが高そうに見えるけれど、実は普段のコーデにも取り入れやすいのかも。うん、欲しい。

そして次の予定の会場はこちら。ぼくが到着した頃にはすでに会場周辺はこの状態で、人ごみをかき分けながらなんとか会場内へ入ります。

お目当ては〈リック オウエンス(Rick Owens)〉のショー。セレブを狙うカメラマンも桁違いに多かった気がします。

今回のコレクション名は、イタリアの小さな工業都市にある工場に由来する「CONCORDIANS」。

奇を衒った演出はとくになし。前回のショーでは200人を超えるモデル、そして神輿のような演出で度肝を抜かれていたのですが、それを裏切る形での純粋なランウェイショーでした。

寒く霧の立ち込める夜を想起させるように会場内にはスモークが焚かれ、そのモヤを切り裂くように、デヴィッド・ボウイの楽曲に合わせてモデルが堂々と闊歩するさまはまさに圧巻。

ベジタブルタンニングされたカーフレザーでつくられたドラキュラカラーのジャケットやコート、14オンスの日本製のデニム、重量感のあるウールのメルトンにアリゲーター…。唯一無二のクリエーションでワクワクさせてくれました。本当に見られてよかった。

続いて〈ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)〉のプレゼンへ。前シーズンで創業者ドリス・ヴァン・ノッテンが退任し、新たにジュリアン・クロスナーがクリエイティブディレクターに就任してからの初となるコレクションです。

とはいえ実は、今回のコレクションにはまだジュリアン・クロスナーは関わっていなくこれまでのメンズチームによるもの。彼が携わったのはクリエイティブ面。

若いギャングのダークなストーリーを軸に、港町の荒々しいギャングをあくまで上品かつエレガントに表現したようです。

肝心の服はというと、さまざまな時代のセーラー、ユニフォーム、ロイヤルコート、ピーコートなど、マニッシュな服をヒストリカルに見せるのではなく、いまにアジャストした形で表現。

〈ドリス ヴァン ノッテン〉のものづくりはデザイナー主導ではなく、チーム全員でトルソーを相手に生地を合わせてあれやこれやとアイディアを練っていく方法です。

そういう意味ではこれまでの〈ドリス ヴァン ノッテン〉が築いてきたものはあまりに大きく、これからも根幹の部分は変わらずに続いていくのだと今回のアイテムを見て感じました。

次に訪れたのは〈ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)〉のショー。ショーの演出として、ランウェイでモデル同士が服を交換する様子が印象的でした。

気になったのは中綿入りのアイテム。テーラードで中綿って想像してみてもらえたらと思うんですけど、大抵イケてない感じになっちゃいがち。でも〈ヨウジヤマモト〉は違います。中綿を入れる箇所、そしてその分量を綿密に調整して間違いなくファッションとして昇華させていました。

パリに来て、あらためて日本のブランドの底力をまざまざと見せつけられています。公式スケジュールのおよそ3割が日本のブランドというのも納得。冷静に考えて、これすごくないですか?

興奮冷めやらぬままに我々が次に向かったのは〈バウルズ(vowels)〉のコレクション発表です。

日常生活の延長線にあるラグジュアリーを追求したような、汎用性の高いアイテムが多かった印象。落ち着いたトーンの配色に、洗練されたグラフィック、仕事の細かさはやはり言うまでもありません。

会場にはShing02の姿が。最新の音響機器のなかでライブを行うとのことでぜひとも聴きたかったのですが、次の予定がすぐそこまで迫っていたので泣く泣く断念。

この期間中は時間との勝負です。でもなんやかんやショーは20〜30分押しが当たり前。これがまた予定を読みづらくするのです。もう全部オンタイムでやっちゃえばいいのに、まあそうもいかないんでしょうね。来場予定のVIPやセレブを待たずに始めてしまったらえらいこっちゃですから。

そして当然のごとく40分押しでスタートした〈アミリ(AMIRI)〉のショーがこの日最後の予定。

LAから新たなラグジュアリーの形を提案するブランドとして多くのファンを虜にしている〈アミリ〉が、ハリウッドとロサンゼルスへのオマージュと謳う今回のコレクション。

目立っていたのはやはりテーラードジャケットです。ボックスシルエットが印象的で、ラペルは極太で少し低めかな? それだけ聞くとカッチリしたイメージを受けそうですが、〈アミリ〉はそこに繊細なクリスタル刺繍やビジューで遊びを加えます。

夜にマッチするというか、不良のムードというか、そこにラグジュアリーのエッセンスを見事に融合させた感じです。

会場の雰囲気と相まって、官能的で大人なコレクションでした。やはりオンリーワン。

3日目はこれにて終了です。ファッションウィークもここで半分が終了。連日の歩数2万超えで下半身にガタがきておりますが、このままラストまで駆け抜けます!

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