BLOG - フイナム編集部

ルイ・ヴィトンとアンダーカバー。クリエーションの先にある、ただひとつの願い。

編集部の村松がお届けするパリ滞在記。ファッションウィークの2日目は〈ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)〉の本社に向かいました。その目的はRE-SEEで、昨夜ランウェーで披露されたばかりのショーピースを手に取って見るためです。

今回のコレクションのテーマは「LE MONDE EST À VOUS」。この言葉は「世界はあなたのもの」という意味で、クリエーションの底流にあるのが世界の人々の団結を願う、ファレル・ウィリアムスのピースな気持ちです。それを示すためショーの舞台は「ユネスコ」の本部が選ばれました。

この想いに彼の服づくりに欠かせないデザイン要素「ダンディズム」と、〈ルイ・ヴィトン〉の本質である「旅のスピリット」を重ねて、コレクションの輪郭が描かれています。

それでは最新作の数々を一気にご覧いただきましょう。

〈ルイ・ヴィトン〉をたっぷり堪能した後は〈アンダーカバー(UNDERCOVER)〉です。数年ぶりとなるメンズのショーはファッションウィークの目玉のひとつ。その内容はいま世界的にも評価の高いウィメンズコレクションの勢いをそのまま反映したような会心の作だったと思います。

ショーは舞台正面の大きな壁に今回のために撮影した、オーストラリアのスリーピースバンド「Glass Beams」の映像を投影し、その演奏に合わせてモデルたちが歩きました。

コレクションのテーマは「Lost Cloud」。“架空の民族” をイメージし、着やすさと軽さを追求したラインナップで、そこには不確実性が増す世の中に対し、世界平和を願う気持ちが込められています。デザインのアプローチは全く異なりますが、不思議とファレルが〈ルイ・ヴィトン〉のコレクションに乗せた想いと通じる部分があるように感じます。

ショーとしては飾り気のない、ごくシンプルな演出だったのですが、服のつくりと発想で観るひとの心を掌握するようなクリエーションはさすがの一言。いまデザインよりもマーケティングが重視されるモードの世界のなかで、〈アンダーカバー〉が改めてファッションの醍醐味を教えてくれたように感じます。

〈アンダーカバー〉の余韻に浸りつつ、向かった先は〈ザ・ロウ(THE ROW)〉の展示会。その様子をご紹介したかったのですが、今回は残念ながら公開が難しく…またどこかのタイミングで取り上げたいと思います。ちなみにコレクションのテーマは「ザ・ロウが考えるカジュアルウェアの再解釈」。ブランドのアイデンティティをさらに発展させたような内容で、物欲を刺激するものがたくさんありました。

 

次は〈ウォルター ヴァン ベイレンドンク(WALTER VAN BEIRENDONCK)〉のショーです。見どころのひとつは会場を訪れる来場者たちにあり、そのユニークなスタイルから滲み出る、彼らのファッションに対する愛がこちらにも伝わってきます。こういった光景が見れるのもファッションウィークの醍醐味です。

理由は分かりませんが、会場の前ではクルマのおもちゃで遊ぶ二人組の姿も(笑)。

続いて紹介するのは〈エムエーエスユー(MASU)〉です。「FASHION PRIZE OF TOKYO」の支援を受けて、パリで二度目となるショーを行いました。

ご覧の通り、アイビーやプレッピーの要素をふんだんに盛り込んだ内容で、それはまさに『TAKE IVY』の進化版を見ているようでもありました。〈ヴァンヂャケット〉の創業者、石津謙介さんのポートレートをプリントしたスエットがいいアクセントに。

この日のラストは〈プロトタイプス(PROTOTYPES)〉です。ご存知ない方のために説明するとこのブランドは、〈ヴェトモン〉でデムナ・ヴァザリアに寵愛された二人が2021年にスタート。

〈プロトタイプス〉が提案するのは基本的にデッドストックの衣類や生地を用いた一点もののピースで、現代の大量生産のファッションに対するアンチテーゼともいうべき服づくりで注目を集めています。

ショーは開始予定時刻の21時から30分以上過ぎてもはじまらず、何事かと思いきや最後の最後、会場にやってきたのはYeことカニエ・ウェストと彼の妻ビアンカ・センソリでした。デザイナーの二人は〈Yeezy〉のデザインパートナーでもあり、Yeとビアンカはこのブランドの愛用者なのだそう。

発表された服は、舞台袖から出てくるモデルたちがぼくのシートの位置からちょうど逆光を受けるかたちになり、残念ながらよく見えませんでいた。ただ、〈プロトタイプス〉が生み出す熱量みたいなものはしっかり伝わってきたので、今後もブランドを追いかけていこうと思います。

UPDATE BLOG

ブログトップもっと見る