ファッションウィークの後半戦はパリらしい初夏の清々しい天気でスタートしました。日本のような体にまとわりつく湿気が一切なく最高に過ごしやすいです。
本日の一発目は〈ジュンヤ ワタナベ マン〉のショーでした。会場は〈BOTTER〉と同じ場所だったのですが、ランウェーが広くとられた分、我々ジャーナリストを含め、招待客の数はかなり絞られているように感じました。
幕が開けると、舞台に現れたのはつぎはぎだらけのコートに身を包んだモデルたち。なかにはコートのベルトをひとつひとつ繋ぎ合わせてつくられたものや、ジージャンを解体して再構築したようなものもありました。
近年の〈ジュンヤ ワタナベ マン〉といえば、トラッドやワーク、ミリタリーといった男性服に欠かせない要素を用いることでリアリティのある男性像を描いていますが、今回はどちらかというとウィメンズの〈ジュンヤ ワタナベ〉を思わせるクリエーション。
リアルクローズだけではないファッションの多面的な面白さや醍醐味を存分に感じさせてくれる圧巻の内容でした。
しかも、会場に鳴り響くピンク・フロイドの曲がこれまたよかった…。
ショーの終わりにプレスの方が教えてくれたのは、このコレクションがまさに〈ジュンヤ ワタナベ〉とのコラボという事実でした。
会場には〈ルイ・ヴィトン〉で話題のファレル・ウィリアムスの姿も。ショーの後に声を掛け、写真を撮らせてもらいましたよ。
続いてご紹介するのは〈ポール・スミス〉です。
近年このブランドは得意とするテーラリングにフォーカスしているように感じるのですが、今回その傾向はより顕著に。
テーマは「The Suit(But Different)」。スーツを出発点であり終着点であると捉え、テーラリングのあらゆるかたちを探求しているとのこと。
モノトーンを主体にしつつ、差し込まれたピンクやブルーといったライトカラーが心地よく、新時代のワークスタイルを提案しているように感じました。
以下はプレスリリースに掲載されたポール・スミスさんのメッセージです。
「テーラリングはとてもシリアスなビジネスだと思われがちですが、私はいつも、 テーラリングがいかに楽しいものであるかを人々に伝えたいと考えてきました。だから今回のショーは、スーツとテーラリングという、多くの技術と専門知識を必要とするアートフォーム、ないしはクラフトへのオマージュであると同時に、スマートな着こなしにユーモアと喜びを取り戻すためのものでもあります。そしてそれは、伝統的なビジネスウェアと同じく、ミリタリーにインスピレーションを得たユニフォームルックにも表れています。私はつねに、”スーツとは一体何なのか?” という問いに関心を持ってきました。このショーが、その答えのようなものになることを願っています」
最後に取り上げるのは〈コム デ ギャルソン・オム プリュス〉です。
舞台は左岸にあるターミナル駅、モンパルナスの近くにある雑居ビルの上階。コンクリートが剥き出しになったフロアの窓をすべて黒布で覆い、自然光が入らないようにしていました。締め切りの会場はすし詰め状態。空間全体を包む熱気がすごく、他とは明らかに雰囲気が違います。
コレクションは〈コム デ ギャルソン・オム プリュス〉ならではのテーラリングを主体にいくつかのパートに分けて構成されているのですが、服のひとつひとつに主張と強さがあり、それを受け取る我々に深く考えさせるような内容でした。
ここまで緊張感のあるショーは他にありません。
ファッションウィークは残すところあと2日。時間の経過が早すぎて巻き戻したいくらいです…。