フイナム編集部の須藤です。
4月1日に、映画『アネット』が公開されました。監督はレオス・カラックス。
いまから1週間前、そんな監督の来日舞台挨拶が発表されました(直前すぎる!)。コロナ禍で海外の監督はだいたいリモートで済ませてしまうところを、61歳のカラックスが来るということで、シネフィル界隈のツイッターはかなりざわついたようです。
今日4月2日(土)にまとめて3箇所。場所は「109シネマズ川崎」「角川シネマ有楽町」「グランドシネマサンシャイン池袋」。8年ぶりの新作&監督来日とあってチケット争奪戦がになるだろうと思ったら案の定、30日(水)0:00の発売スタートから5分もしないうちすべて売り切れてました。都心から離れている川崎までも…恐るべしカラックス。
ちなみにわたしは有楽町狙いで争奪戦に乗り込み、無事ゲット。しかも前から2列めという神席でした…(この時点で1回昇天)。
迎えた今日。試写も含めて3回めでしたが、1,2回めで取りこぼしていたささいなシーンやカットが見えるようになってきて、非常におもしろかった!
『アネット』は、スパークスがつくった数十曲の歌が原作で、ほぼ全編のセリフを俳優の歌で構成する、いわばミュージカル映画。(あらすじは公式サイトに任せるとして)ド頭のとんでもないロングカットにはじまり、コメディアン役のアダムドライバーのただならぬ狂気と、スパークスの不可思議な音楽、物語をところどころぐにゃっと屈折させる演出(これがものすごいスピードで繰り返されるから頭がバーストしかける)など、ほぼ殴られているのに近い衝撃。圧倒されます。3回目となるとそれらが緻密に設計されていることがおぼろげにわかってきて、感動を通り越して、引きました。息ができるはずがない。
上映後、いよいよ舞台挨拶。
ラフに入ってきたカラックスは、めちゃくちゃにかっこよかった。裾がほつれてる&ボタン部分の裏地が見えてる着古したブラウンのロングコートに、中には素材不明のごわごわのパーカー、プーマの白のロングソックスにカンペールのシューズ…。特段こだわりはないけど、スタイルがあって、無理してない。汚くてかっこよかったです。
舞台挨拶は、来場者から事前にあつめたQ&Aに答える形式。どんなささいな質問も丁寧に答えていたのが印象的で、正直過去のインタビューのテキストからして、ぶっきらぼうで他人をよせつけないひとなのかと勝手に思ってましたが、実際はシャイで真心があるというか…。犬飼ってる人に悪いひとはいないですね。
そんな舞台挨拶もおわって、わたしは放心状態のまま外へ。感動と衝撃とでぐちゃぐちゃでしたが、変な勘がはたらいて裏口にまわってみるとひとだかりが…。
その中心にはもちろんカラックス(!!!!!)。万が一会ったときのために…と家を出る前に急いでバッグに突っ込んだペンとメモ帳を握りしめて、サイン列に。くわえタバコのままカラックスがサインをする姿(たぶんちょっと笑ってくれた…)、しっかり目に焼き付けました。感無量だ〜。
次の池袋回に移動するまえの合間だったんですが、たぶん30人くらいにサイン書いてたと思います。優しい。車にのりこんだあとは窓からタバコの吸殻をポンポンして、時折出待ちファンをチラチラ見て、池袋へ…。
本当にカラックスは存在してました。
このままだと私的ブログすぎるので、最後に宣伝させてください。
この熱量をすべて注ぎ込み、フイナムで特集記事をつくりました!無類のカラックス好きだというミュージシャンの曽我部恵一さんと俳優の大下ヒロトさんに、新作と過去作についてをあれこれ聞いたインタビューでして、それぞれの世代ならではの捉え方やそもそもの映画に求めるもの、初めてカラックスに触れるひとへのアドバイスなどあれこれ聞けて、たいへんおもしろく仕上がりました。
インタビュー写真は「カラックスオールナイト鑑賞会」的な雰囲気で撮影を。過去作の貴重なVHSとか、カラックス特集の『HUGE』とかが散らばってるので、ぜひズームして見つけてみてください。
鑑賞後はもちろん、鑑賞するか迷ってるひともぜひ読んでみてください〜。
最後に余談を。今日4月2日、生カラックス体験と同じくらい記憶に残ったものがありまして。その名も「アネット川崎桜餅事件」なんですが、気になる方はツイッターで検索を。個人のコメントは控えておきます…。
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