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BLOG - フイナム編集部

THINK ABOUT FASHION

どうも、村松です。

あえて今日はファッションについて書きたいと思います。

いまコロナの影響でさまざまなことが転換を求められています。たとえば、報道されているJRの終電の繰り上げもそのひとつ。ぼくたちの生活スタイルが変わったことで、夜間の利用者が大幅に減っているそうです。その数字がコロナ前の約60%減というからもう明らか、というか変えざるおえない感じです。

この状況はファッションも同じです。規制ばかりのストレスフルな時代のなかで好まれるのは訴えかけるようなデザインではなく、普段の生活に寄り添う実用的なもの。社会の動きがファッションの潮流をつくると言うように、夢や理想が描きづらい状況は本来ファッションが持つ意味すら変えてしまったのかもしれません。

過去を振り返ると、そもそも近代ファッションとは70年代初頭にパリではじまったプレタポルテが起源といわれています。ケンゾーやカステル・バジャック、ソニア・リキエルらがそれまで主流だったオートクチュールに反旗を翻し、ストリートの風を取り入れてつくったリアルクローズに端を発しています。

その流れのなかでトレンドも生まれました。もともと作り手側が発信するものとして、当初は10年のサイクルで繰り返すといわれていましたが、メディアの数=情報量が増えたことでその周期が短くなり、いまではトレンドという考えすら無くなりつつあります。ネットの進化が拍車を掛けたことは明白ですが、流行の発信源がモードや作り手ではなく、ストリートや着手になったことも大きいのかもしれません。ここ最近の傾向を見ると数年前から続く、「90年代」「オーバーサイズ」は市場に定着し、ファッションのひとつとして当たり前のものになりました。安心感のある過去のデザインのテイストやゆったりしたサイズ感のものが好まれるのは間違いなく社会状況の現れだと思います。

かつてのように心動かされるファッション自体少なくなっていますが、大好きな服でここまできた自分としては、コロナ時代であってもファッションを通して語れることがあると思っています。そんなことを考えながらつくったのが、9月の「MONTHLY JORNAL」。「THINK ABOUT FASHION」と題した三部作です。

これらの企画をつくっている時にちょうど「モード後の世界」が刊行されました。ユナイテッドアローズの栗野宏文さんが、これまでの自身の経験を踏まえ、多角的な視点でファッションについて書いた本です。

“モード” の終焉を告げるような衝撃的なタイトルに惹かれて手に取ったのですが、ファッションの根源、核心に迫る言葉の数々は読んでいる自分が問われているようでもあり、深く考えさせられました。

こういった難しい状況の中でこそ、ただ着飾るだけではないファッションの意味や温度感みたいなものを嘘偽りなく、咀嚼しながら、自分の言葉で届けられたらと思っています。

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