BLOG - フイナム編集部

軒先の無人フリマには、愛がある。

仰々しくて、いかにもハッとすることを言いそうなタイトルですが、今回は本当にハッとしちゃうことを言っちゃうかもしれません。

編集の須藤です。

家の近所に、軒先に服や雑貨を並べているお宅(一軒家、おそらく二世帯or三世帯)があります。仮にEさん宅としましょう。「ご自由にお取りください」という手書きのチラシが貼られ、E家のだれかがいるわけでもなければ、金銭の授受もない。まさに「無人フリマ」。

今週のラインナップは豪華でした。

メンズのコットンパンツやスラックス4本に、レディースのスカート4本とパンツ1本、スパイダーマンを彷彿とさせる柄かつ伸縮性ばつぐんのトップス、革のハンドバッグ、ヒョウ柄の布団マットレス、小物20点ほど、子供用の赤いバレエシューズ、原田康子さんの小説を中心に文庫10冊。

 

この中から本日持ち帰ったのは、爽やかなブルーのホットパンツとハンコ2つ(ちなみに以前は、シアサッカー素材のストライプ柄のショートパンツをいただきました)

ハンガーにかけられた服は外壁や玄関のドアに並び、小物たちはダンボールの中に行儀よくディスプレイされています。そして、これまたご親切に持ち帰り用の紙袋が7つほど置いてあります。老若男女だれがきても楽しめるセレクトに加え、帰り道の負担を減らすショッピングバッグ…商いの起源を見ているような気がしてなりません。

 

といろいろ見ていくうちに、Eさん宅は服への愛がはんぱないことに気づきました。チラシのご自由に、の文言の横に書かれた「女性ものはMサイズくらい」という注意書きは、ふさわしい人に渡ってほしいという気持ちからでしょう。また、服自体がよれたりあせたりしていないことも、その証明になっているでしょう。

しかしここで、ふっと悪い予感がしました。毎週のように服を軒先にだし、明らかに10年以上前に作られたものが多数……

Eさん宅の祖父母がご不幸にあわれた可能性が高いのです。いや、それかもう死期が近いのかもしれません。病床で娘につぶやいたのは「我々が好きで着ていた服、何かの役に立てないかのう」という最後の切なる願い。このフリマは、それ以来はじまった、親孝行をも内包したフリマなのかもしれません。

…少々妄想の歯車が狂いはじめたところでお開きとします。結論、軒先の無人フリマには、愛があります、たぶん。

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