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BLOG - フイナム編集部

試写と蕎麦はセットだろ。Vol.1

編集部の須藤です。

大学の頃、池波正太郎さんの書くエッセイが好きでよく読んでいました。歴史小説家を生業としながら粋に東京を遊ぶおじさんは、天ぷらの嗜み方やお酒の浴び方をゆるりと説いてくれました。

なかでも「男の作法」に出てきた映画試写の一説がお気に入り。紙がゆがむほど読みました。池波先生は大の映画好きで、仕事の合間を縫ってたびたび京橋の試写室に訪れていたそう。で、その帰り道に食べるのが決まって蕎麦。日本橋や銀座の老舗に赴き、ざるを啜って(たまに天ぷらなんかをつまみ)、さっと帰るのが渋いんだとか。

映画も蕎麦も好きな私は、このなんてことない一連の行動にたまらなく憧れを抱き、社会人になったらいつかと思っていたら、8月某日。ついにその時は訪れたのです。

映画『スパイの妻』(10月16日公開)を観に京橋へ。本作は監督が黒沢清さん、脚本で濱口竜介さんが参加しているんですが、この二人…実は私の映画監督ベスト5に入っていまして!!!!! 完全なる私的胸熱案件。合掌。

最高の試写バージンの舞台をセッティングしていただいたからには、しっかりそのパフォーマンスを成し遂げようと選んだ蕎麦屋は「そばよし 京橋店」。日本橋の本店は以前ブログで紹介しましたが、こちらに来たのは初めてでした。

いただいたのがちくわ天ざるそばとライス。なぜ米を頼んだのかというと、特製の粉かつおが付いてくるから。

これをサササっとかけて醤油をちょろっとたらせば、魅惑の丼ぶりの完成。粒子が細かいので、必ずと言っていいほどむせるんですが、それもご愛嬌。食べ終えていざ試写へ。

公開前なのであまり言いすぎてはあれなんですが…

声高に言って傑作です。清節の効いた不穏な画面づくりに、『ハッピーアワー』でもその巧みな言葉組みに業界内がざわついた濱口さんと野原位さんによる脚本…。8月の昼下がり、仕事をほっぽいて駆けつけた自分を強く抱きしめました。

てことで無事、試写&蕎麦のダブルコンボを体験。よかったよかった。すでにお分かりかもしれませんが、私の『スパイの妻』愛がすこぶる熱いので、フイナムでも何かかしら記事をアップ予定です! お楽しみに。

次は何を観て、何を食べに行こうかしら。乞うご期待。つづく

 

p.s.老舗ではなく立ち蕎麦に行ったのは、ひとえに金欠だったから。情けねえ。次こそは〜!

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