BLOG - 猿渡大輔(グラフィックデザイナー)

ウールのシャツと越えた冬

 

 

ウールのTシャツというものが長らく食わず嫌いの対象でした。
しかしこの冬は、はじめてインナーにウールのTシャツを着て乗り越えてみました。
それもただのインナーではありません、(恥ずかしながら仕事で接点を持つまで知らなかった)和歌山のカットソーブランド、1907のメリノウールTシャツです。

 

 

 

 

 

忌避していたのは洗濯が面倒そうとかガシガシ使えなさそうとかそんなイメージだったり、また肌に直でウールというのも何かピンとこない感じがある(スノーボードのときはずっと着てたのに)とか、漠然としたそういう理由だったと思います。
結論、天然の機能素材という触れ込みどおりに着心地がやわらかく快適でもちろん暖かく、一方で洗濯も普通にできて何の厄介さもありません。
また、化繊のインナーを着ていたこれまでの冬は思い返せば乾燥や繊維との摩擦でかゆみやかぶれがあったのですが、今年はそれがないまま春を迎えてしまいました。しっとりと潤ったような手触りは、本当に適度な湿度を保ってくれていたのでした(個人の感想です)。それはこのカットソーのために独自に開発されたという糸の効果であり、長年積み重ねられた編み技の妙であるのだと思います。
インナー専用ではなく1枚でも着られるようにということで作られているので、これからの季節、もう何ヶ月かはより軽やかに着られそうです。

 

 

 

 

 

 

1907は和歌山でその名の通り1907年に創業したニッティングファクトリー、森下メリヤス工場がつくるオリジナルブランド。いまでこそ丸編みの一大産地として知られる和歌山ですが、その興りはこの森下メリヤスだったのです。さまざまなブランドの裏方としてテキスタイルを製造してきた120年の間に、地域もまた産地として発展してきたということです。

 

 

長年OEMなど裏方に徹してきた工場が自らのブランドを始める、ということ自体はもうすっかり珍しいことではなくなりました。
売り方や利益構造の面においてメリットがあるのだろうとは推察できます。ただ、消費者の側からすればそれのどこに魅力を感じればいいのかわからないことも多いでしょう。質がいいとて同じようなものならブランドのネームがついたものを買うよ、となるのは想像に易いことです。
1907には、自分たちでつくることの意図や、そうでなければ作れないものがあるという必然性があるように思います。
これまでの経験や技術、知識を結集させつつ、名だたるブランドの製造を請け負ってきた側の人たちがわざわざ自らつくるに足るような、ある種偏屈なこだわりのベクトルを持ったプロダクト。
であれば、工場自らつくることの意義はいち消費者としてもとてもよく理解できます。作り手の偏屈なこだわりは請負仕事ではアウトプットできないからです。それでいて仕上がりのカットソーの見た目はどれも寡黙そのものなのですが。

 

 

このブランドのカットソーはウールだけではありません。
いずれも彼らの歴史とこだわりが詰まったものなのですが、写真やテキストだけでは体感できないものもあると思います。基本オンライン中心で販売されているところ、いま銀座三越でポップアップを開催しているとのこと。インラインに加えて内田染工場さんとのコラボレーションで制作された春らしいユニークな色柄のカットソーもあるそうです。ぜひ足を運んでみてください。

 

 

 

 

 

 

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