GORDON MILLER KURAMAEにまつわる続き。
GORDON MILLERはもともとオートバックスの店内PBとして2017年に始まっていて、わたしが関わり始めたのが2018年末頃。
いまの役回りに就かせていただいてコンセプトやブランド方針の刷新などを進めたのが2019年、ブランドの在り方が大きく変わったそのときから、将来的に直営店を出す展望はなくはなかったと思います。
オフラインの存在意義がまだあり続けるであろう車関連の販売や手続き、メンテナンスサポート、そしてブランドとしてのメッセージやスタンスの提示を行う拠点は、取扱ディーラーがどんどん増えてくれているからこそより必要に感じるようになっていきました。
もちろんそのためにまず乗り越えなければいけないステップがあったわけですが、準備が整ってから物件を探してからでは遅いし、そもそも事業サイド、ブランドホルダー側から求められる条件に当てはまる物件は到底簡単に見つかるようなものではなかったので、当時からずっと物件探しは続けていました。車販売とピット併設が可能な広さと座組みをもった物件、かつ予算や場所の条件に当てはまる物件。。。などといろいろ前提があるなかで、候補が浮かんでは消え、また浮かんでは消えていきました。
そういう作業の副産物といってはなんですが、2019年末には世田谷に新たにプレスルームを兼ねた事務所を構えることにつながり、ときどき一般開放日をするなどして一時的に直営店っぽい役割を担っていました。
そして去年の初夏ごろ、いくつかの候補物件をリストアップすることができ、出張先の大阪でそのリストを当時の所管部門の部長、課長に提示しました。そこで唯一引っかかったのが、自分が第二候補くらいに据えていた物件。墨田区の目立たない路地裏にある、もと船舶関連の工場という古くて埃臭くてだだっ広い建物でした。
この物件でオートバックスが会社的にゴーを出すに際してはとてもとてもさまざまな手続きや書類や根回しが必要だったとのこと。尽力した多くのメンバーとオートバックスの人々によってこの物件が将来のGORDON MILLER直営店の場所として決まりました。
第二候補と言いましたが、個人的にはとても気に入っていて、楽しいことができそうな物件だと思っていました。ことゆっくり車の販売や説明をするにおいてはトラフィックの多い騒がしい場所よりもこうした一本入った静かな場所がいいと思ったし、このまま生かしたいくらいのリアルな工場の設えはブランドにとっても相性のいいものに感じました。もっと目立つ場所じゃなくていいのか?という思いもあったろうにそれを抑えてこの物件にゴーを出された会社の期待はしっかり背負わねばなりません。
決まったと言ってもそこからまだ平坦でない道が続きます。
ピットを併設することの法律的な(というのが適切だったっけ?)ハードル、まあまあ低い内外装のための予算、そもそもその間の事業の推移や動向、その他もろもろの調整や話し合い、話し合い、話し合い、話し合い。
予算に関してで言えば、ぜひ一緒にやっていただきたいとまわった建築関係の会社や組織の皆さまには無理なご相談をしましたが、「オートバックス傘下だからもう少し予算出るのかと。。。」というお言葉を頂戴してしまったりしながら紆余曲折を経て着地を迎えていました。大きい資本の下にいるとはいえ決して坊ちゃん事業ではないのですね。
そんな調整や計画を進めている間この物件はおかげさまで受注が急増していたGORDON MILLER MOTORSにまつわる作業の場として主に運用され、ピットチームが日々ここで働いていました。物件自体抜けがあって雰囲気も良かったので、撮影に使ったりなどもたくさんしました。
そんな流れを経て、今年に入って本格的に始まった店づくりのプロセス。
限られた資源のなかで、ピットには惜しみなくそれを振り分け、その他は創意工夫も交えながら内外装の計画を立てていきます。
この2年でさらに増えた展開商品に合わせて必要なスパン数を計算したり什器の内容、量を算出するのも自分の仕事。
室内に1レーンのピットをつくり、その他は照明や空調、水周り、壁補強などのインフラ的なことがメインの工事が終わったのが初秋(ついこの前)。いろいろあったなかで進めてくださった業者さんには頭上がらぬです。
さまざま融通を利かせたりしながら集まった物流や業務用のものを含む什器・備品を運び込むとともに、この百数十坪に陳列する商品の荷受け。実際の売場をつくっていくわけですが、また難儀するのがこの工程。というのも、このお店で働く予定のスタッフたちはみな、同タイミングで開催させていただいていた東京ソラマチでの期間限定店に行っているので、その間にここで売場をつくって待つのは別の人間でしなければならずで。
そんな潤沢な体制ではないので、什器と商品が揃ったタイミングからひとりで開梱→仕分け→レイアウト→陳列→開梱→以下繰り返し。
途中、オートバックスの店舗でのGORDON MILLERの売場を指導しているボスが集中的に入ってくれたりときどき店長が手伝いにきたりしながら売場づくりを大急ぎで進行。
できた売場から写真を撮って編集して、リリース書いて。ショップカードやいろんな備品(ハンコとか)の準備も並行で進めて慌ただしい日々を超えて時間軸は現在に移ります。実際まだそういう作業は続いてます。
それでできたお店の中については追ってご紹介したいと思っていますが、こんなお店ができるまでの工程を振り返ってお伝えしたいことは、お客様以上にきっとスタッフがこのお店のオープンを楽しみにしているだろうということです。
GORDON MILLERの本体のスタッフはお客様と実際にお会いする機会がこれまで決して多くなく、イベントやポップアップ、オーナーズキャンプなどしかありませんでした。お客様から見ても、さまざま商品に出会うことはあってもブランド本体のスタッフと話す機会や世界観を感じる機会に遭遇することは稀であったと思います。そういう場所を山やら谷やら越えて構えることができるので、中の人にとっても待ちに待った、という出来事なわけです。
お越しくださる皆さまには商品・サービスやスタッフとの交流はもちろん、こんなプロセスを経て店になったこの建物の面白さなんかも見ていただけると嬉しいです。クレーンやキャットウォークのような設備がみな残っているので、かつての姿も想起していただけると思います。
次はここに並ぶ商品、特にGORDON MILLER KURAMAE限定&先行販売商品について紹介したいと思います。