District 2024年、春・夏のテーマはInspirastional Journey:想像を喚起する旅、です。
僕(クリノヒロフミ)自身、旅の多い日々を送ってきました。
ファッション企業のクリエイティヴ・ディレクションという業務においてそれは当然とも言えます。
業界歴47年間、主にヨーロッパ、そして北米、東南アジア、アフリカの5カ国に旅しました。
それらの旅で得られたものは計り知れません。
特に80年代中期からの約10年間での欧米への旅は現在の僕のファッション業界人としての価値観や美意識のベースになったと言って過言では無いでしょう。
20世紀から始まった僕の旅も21世紀にはいり、早くも2ディケイドが過ぎましたがこの数年、ファッション業界も大きく変化しました。
僕がこの業界に入った70年代、そして80年代はファッションというジャンルにおけるクリエイションが全ての牽引力で、斬新なデザインやヴィジュアル表現やプレゼンテーションに溢れていました。
幸運なことに僕の旅とはまさに‘時代のクリエイション‘に出会う日々の連続だったのです。
しかし21世紀も24年目となり世界的に様々な価値観の転換点にあることを実感しています。
ファッションを動かすものはマーケティングや話題性が中心となり、ファッションを動かす企業とは資金力のある企業を意味するかのような現状となり、極論すれば、僕達は‘ファッションの最前線‘に居ながら‘クリエイションの最前線`は見えていない様な気もします。
ではファッションは滅びてしまうのでしょうか…
僕はそう思いません。
‘ファッション‘が‘消費‘ではなく‘生きることにおいて何か意味のあるもの‘を提供し、享受し、服を着ること、お洒落することで主体者が輝く。
それが本来‘ファッションが果たすべき役割である、とするならば、今こそ‘トレンド‘や‘話題性‘を超え、服の持つ価値そのものの追求‘へと向かうべき時代なのではないでしょうか?
2024年、春・夏のディストリクトは‘Inspirational Journey‘をテーマとし、ファッションが本来果たすべき役割を‘服‘として具現化していきます。
‘想像性を喚起する旅‘とは、見知らぬ土地への旅であるばかりでなく、家や自分の町に居ても‘想像力‘によって羽ばたくことが出来ること…
そのお手伝いを‘服‘というかたちで創出します。
そして、地球温暖化に伴う酷暑とも言える夏季の気温の中でも快適に過ごして頂くためのツールとしての‘服‘を提供します。
ディストリクトが提案する‘服‘による‘Inspirational Journeyをお楽しみください。
‘Bon Voyage!‘
ディストリクト ディレクター 栗野宏文