BLOG - フイナム編集部

バウルズのパリデビューの舞台裏。キディルとオーラリーの服づくりの深化。

編集部の村松です。

インドから帰国後、束の間の日本滞在を経て、今度はフランスへ。その目的はというとパリ・メンズファッションウィークの取材です。

ファッションウィークの期間は6月18日から23日まで。オリンピックの開催を間近に控えるこの場所に世界のさまざまなブランドが集い、最新作となる2025年春夏シーズンのコレクションを発表します。

そのはじまりに水を差すかの如く、初日は朝から冷たい雨。去年のちょうどいま頃は真夏のような日差しを浴びていたので、肩透かしをくらったような感じです。

そんな中、まず向かったのは〈バウルズ(vowels)〉のプレゼンテーションです。改めて説明すると、このブランドは今年5月に始動。ファーストコレクションのルックを写真家のホンマタカシさんが撮影し、そのビジュアルを使って表参道のアドをジャックするなど、センセーショナルなデビューで注目を集めています。

一見、派手なスタートのように見えますが、実際のウェアはどれもエッセンシャル。ぼくの目には華美なものが敬遠されるいまの時代に寄り添った、着心地のいい新たなストリートカジュアルを提案しているように映ります。

そんな〈バウルズ〉が今度は本格的なコレクションをパリで発表するというので、プレゼンがはじまる前のバックステージに潜入し、たっぷり取材させてもらいました。その模様は近日、特集記事になるので乞うご期待。

〈バウルズ〉の発表に合わせるかのように、雨が止んで外は気持ちがいい陽気に。次のショーまで時間があったのでファッションエリア、マレ地区の店を巡ってきました。

まず向かったのは今年5月にオープンした「ドーバー ストリート マーケット パリ」。コの字型の建物の地下1階から2階までを使い、新進気鋭のブランドから誰もが知る世界的なブランドに至るまで、取り扱うファッションの幅の広さはさすがの一言。このなかには東京・銀座の「ドーバー ストリート マーケット」には無い〈ヒューマン メイド〉もありました。

ここはコンクリートや配管が剥き出しの空間にラウンドした壁や円錐形の棚、鉄パイプの什器などをランダムに置くことで、まるで迷路のようなつくりになっています。

エントランスを兼ねる中庭ではファッションフォトグラファー、パオロ・ロベルシのエキシビジョンを開催中。〈コム デ ギャルソン〉のビジュアルをあしらった、筒状の木製の巨大パネルは圧巻です。

続いて、〈アークテリクス〉〈サロモン〉〈The Broken Arm〉〈Ofr.〉をチェック。〈サロモン〉のストアには〈KAR / L’ART DE L’AUTOMOBILE〉とコラボしたスニーカーのポップアップコーナーがありました。

そして、以前こちらの記事でも紹介した〈BRUT〉に行ったところ、店内に古着の姿はなくオリジナル商品だけの構成に。古着は店の隣に新たにできた「THE BEST VINTAGE STORE」に集約されています。

あっという間に予定の時間になったので、〈キディル(KIDILL)〉のショーに向かいます。会場はパリ8区の「贖罪礼拝堂」。ここはかつてルイ16世とマリー・アントワネットの遺体が埋葬された墓地で、敷地内の教会のまわりにお墓が並んでいます。

コレクションはこのブランドを代名詞といえるパンク精神あふれるもので、〈アンブロ〉とタッグを組んだトラックジャケットやパンツがいいアクセントに。南京錠やチェーン、安全ピンといったパンクを象徴するような小物使いも印象的でした。

ここ数シーズン、続けて〈キディル〉のショーを見ているのですが、ディフェンシブではなく、オフェンシブなクリエーションの姿勢を貫くところにすごさを感じます。

その後は〈オーラリー(AURALEE)〉のショーに向かいました。左岸にある18世紀に建てられた私邸を舞台に、絢爛豪華なシャンデリアが並ぶ広間を男女のモデルたちが歩きました。

コレクションはニュートラルな色使いが美しく、古着で目にするワークジャケットやミリタリーブルゾンも〈オーラリー〉の手にかかると品よく見えるから不思議です。

このブランドならではの洗練されたスタイルはパリでの発表を重ねるごとに、どんどん完成形に近づいているように感じます。

本日の締めは〈バウルズ〉のプレゼンテーションのアフターパーティ。ジェームス・ブレイク(!)が登場すると聞き、居ても立ってもいられず22時にクラブへ。彼のDJをフロアの最前列でたっぷり堪能させてもらいました。

ファッションウィークの初日からいろいろ回って充実した時間を過ごせました。さてさて、この勢いのまま完走できるかな…

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