7月15日から30日まで南青山にあるFEB GALLETY TOKYOにて画家、黒坂祐の展覧会「15万年」が開催される。

2022年、黒坂祐の作品を東京オペラシティーの企画展、「project N」の展示で見た時にその独特な色使いやモチーフの描き方の豊かさに心惹かれて声をかけたのがこの展覧会に至る発端だった。

「Project N」は東京オペラシティーが独自に選ぶ若手作家の企画展で今までにも、水戸部七絵や諏訪未知など才能溢れる若手作家の展覧会を企画してきた。

その後、日本橋三越での展示や下北沢のギャラリーでの展示などを見てますます黒坂ワールドに惹かれ、2023年に淡路島のホテルの内装を10人のアーティストにコミッションするというプロジェクトにも参加してもらいユニークな壁画をホテルの部屋に描いてもらった。

今回の展覧会のテーマである「15万年」は黒坂祐がアトリエを構えている湯河原の景色から発想されたという。

ある時、黒坂祐が毎日何気なく眺めていた山山の風景が15万年も前からほとんど変わらずにそこに存在している風景だという事実に気付いたことがきっかけだったという。

もしもその風景を描くなら、15万年という時間を今に重ね合わせて描かなくてはならないと考えた黒坂祐にとって、現在と異なる時間までをも含めたものの捉え方は理想的な対象の見方である「眺める」という対象の捉え方だと感じたのだという。

画家にとって見るという行為は描く前にまず必要な行為ではあるが、どのように見るのか、そしてそれをどのように表現するのかというのは普遍的な課題であると思う。

かつてセザンヌは見たものをそのままに描くというそれまでの行為を「見て感じた様を描く」という新たな局面へと展開しその後の多くの画家たちに革新的な影響を与えた。

黒坂祐にとって、見るものの背後に存在する時間の蓄積をも含めたものの見方、すなわち「眺める」という行為は今後の彼の新たな表現世界へと展開していくに違いない。

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