3月17日、公開初日に「シン・仮面ライダー」を鑑賞した。
[以下、多少ネタバレがあるかも]
鑑賞後、この作品をどう消化していいのか迷っていた。
全体的にブツ切りだった「シン・ウルトラマン」に比べれば、小難しいがストーリーは2時間の枠にうまくまとまっている。しかし、古臭い映像や安っぽいVFXは意図的なのか予算不足なのか判断しずらく、アクションシーンも序盤の勢いを維持できない。クライマックスシーンの闘いは、暗い背景と相まって、どこか前衛演劇でも観ているようだった。
なにしろ、歪(いびつ)なのだ。「名作」でも「駄作」でもなく、「怪作」。
これと同じような印象を以前感じたことがある。「ラブ&ポップ」や「キューティーハニー」を観た時だ。歪な感じがずっとつきまとう。結果「庵野秀明に実写映画を撮らせてはいけない」と思った。
しかし、そんなぼくの懸念をよそに2016年の「シン・ゴジラ」は超傑作。「ぼくは間違っていた」と深く反省したのだが、今思うと「シン・ゴジラ」こそ例外的作品だった。
つまり「シン・仮面ライダー」は、とても庵野秀明監督らしい作品だと個人的には思う。
「新作を作ることでオリジナル作品を自作で超えるのではなく、オリジナルの魅力を社会に拡げ、オリジナルの面白さを世間に再認識してもらうこと」
「自分個人がやりたいことではなく、作品が面白くなる方が重要だと思っています」
庵野監督の言葉だが、皮肉にも庵野監督の手がける作品はすべて「庵野秀明」というフィルターを通して観られてしまう。
「庵野監督はどういうストーリーにしてくれるのか」
「庵野監督はどんなマニアネタを入れてくれるのか」
「庵野監督はどんな掘り起こしをしてくれるのか」
今回も綾波レイ的な緑川ルリ子や、人類補完計画的なハビタット計画など、庵野節が炸裂。おそらく「庵野」という言葉を抜きに「シン・仮面ライダー」が語られることはないだろう。
「シン・仮面ライダー」。「名作」でも「駄作」でもなく、「怪作」。でも、好き。
ぼくははっきりとわかってしまった。ぼくたちは地位も名誉も得たオタクの庵野少年の思い出と趣味(もしくは「地位も名誉も得たオタクの映画関係者が庵野監督に撮らせたいという願望」)に付き合わされているのだ。
しかし、自分もオタクだし、庵野秀明も好きだ。だから仕方がないのである。とことん付き合おう。今後もどんどん「シン」という庵野フィルターを通したリメイクを生み出していって欲しい(次は原作版「キカイダー」希望)。
余談
仮面ライダーがあまりにもかっこよかったので、S.H.Figuartsのシン・仮面ライダーを買おうと思ったら、発売初日なのにすでにどこも完売&プレ値。完売は出遅れた自分が悪いので致し方ないが、転売目的で買うのは本当にやめて欲しい。
無事、仮面ライダーストアで定価で入手できた。
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