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BLOG - フイナム編集部

無理して行くオールナイトは楽しい。

無理して観る映画、好きです。編集部の須藤です。

わたしが大学生のときなんかは、サブスクがいまほどもりあがっていなくて、映画を観るとなると映画館に行くか、ツタヤで借りたDVDを観るかのどちらかでした。

DVDの場合は、ノルマのように一日中映画を ”こなし見” していた時期があります。朝7時ぐらいに起きてライトな映画を2本、お昼を近くの飲食店でかきこんで、午後から夜にかけて恋愛ものや青春ものを2本、気休めに散歩して、夜に考えこむような2本といったような感じで。もちろん登場人物も物語も最後には脳内でぐしゃぐしゃにミックスされるので、作品の意図がどうだということは覚えていませんが、そのわけわからん状態になるのが結構好きです。

無理して観るで言えば、映画館のオールナイトもその類。いままで行ったなかで印象的だったのは「石井岳龍オールナイト」と「三宅唱オールナイト」です。前者は『狂い咲きサンダーロード』『爆裂都市』『ソレダケ』のラインナップで、しかもぜんぶ爆音。手持ちのぐわんぐわんしたカットが多くてエネルギッシュな内容だけに、爆音だと酔います。しかも深夜に3本つづけてだと、軽く吐きそうになります。でもそのおかげもあり、帰りがけに新宿のBERGで食べたモーニングはとびっきりうまかった。

後者はつい先日のことで、『THE COCKPID』『Playback』『きみの鳥はうたえる』という並び。朝に近づくにつれて、きみ鳥のクラブシーンも朝を迎えるというのは、映画といっしょに歩をすすめているようでふしぎな幸福感と優越感がありました。途中うとうとしてしまったり、インターバル時間に他人の疲れた顔を観るのもまた一興というか、日中には到底体験し得ないものがいろいろとあります。

 

そんなわけで告知です。2月25日(土)、スタイリストの梶雄太さんがディレクションするオールナイトイベントが下北沢の映画館「K2」で行われます。その名も「Kajiyu du cinéma(カジユ・デュ・シネマ)」。おわかりの方いらっしゃいますかね、そうあのフランスの映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」をモジッています(笑)

この時点でやばそうな雰囲気ぷんぷんなのですが、上映作品もやばい。

・『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』
(1989年, 78分, アキ・カウリスマキ)

・『ジェラシー』
(2013年, 77分, フィリップ・ガレル)

・『聖杯たちの騎士』
(2016年, 118分, テレンス・マリック)

その監督のそれなんだっていう驚きがありつつ、どこの映画館でもできない梶さん独自の采配が効いていて、個人的にはぐっときました。なんというか、ふだん自宅でひとりオールナイトをしている感じをそのまま映画館にもってきたというか。だって適当に選んだ3本が、意外といい具合に調和をはかっちゃうみたいなことってときどきありますよね。

で、ほかのコンテンツもおもしろくて、梶さん本人による「映画占い」は、悩みを相談すればそれにあわせて梶さんが映画を選んでくれるというもの。専門性がなくその場のノリで映画をおすすめするって個人的にもほどがあるのですが、それを公式の場でやるのがいいですよね。梶さんぽいし、なんか当たりそう。これ以外にも、〈オールドフォークハウス〉のデザイナー2人や、エディターtomoe さんによる私物フリマもあるとのこと。

朝5時半におわったあとは、そのまま駅に直行せず熱いコーヒーか蕎麦をすすりましょう。下北のマックは6:00-、富士そばはすでに開いてます。帰る気力をそこでチャージしつつ、一夜の振り返りをすることができるはず。

無理した先にはきっとなにかはあるはずなので、いったん一夜を梶さんにベットしてみてください。チケットはこちらから。そして裏話はこちらの記事から。

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