原宿にあるGallery38にて「コレクション展」が開催されている。ギャラリーに所属する5人の作家、ステファニー・クエール、ローマン・カディロン、クリスチャン・プーレイ、ハートムット・ランダウアー、オリバー・マースデンの作品は立体作品や平面作品でそれぞれギャラリー内に散りばめられたように展示されている。ステファニー・クエールはイギリスのマン島生まれで自然豊かな農場に働きながら粗い粘土で動物の姿を作り上げる。ローマン・カディロンは”光りと影”を作品制作のテーマに据え金粉やシルバーグラファイトなどを混ぜた顔料を画面に吹き付けて独自の平面作品を作る。クリスチャン・プーレイは曖昧な雰囲気の風景画を描くがそれは見るものが画面の中に入り込むためかまたは作家自身をキャンバスに投影するためか、作家の故郷であるチリの風景だという風景画について詳細を述べることはないという。ハートムット・ランダウアーは絵画と彫刻が組み合わさったような独特な作品を作るが作品制作に必要な静けさや神秘的な環境は2019年にレジデンスプロジェクトで滞在した長野県の小海街で得られたのだそうだ。オリバー・マースデンは光、色、音、振動、水など様々な感覚や自然現象をキャンバスの上に顔料や線で変換し知覚というプロセスを追求する。それぞれの作家が試みる様々な表現が主張しあいまた共鳴し合うグループ展は個々の作品を見て感じるとともに作品同士の関係性も見ていて興味深かった。