市ヶ谷にあるMizuma Art Galleryにて加藤愛の展覧会「ひあたりのわるいへや」が開催されている。美学校時代に会田誠のバラバラアートクラスを卒業した作家は2007年より「愛☆まどんな」としてライブペインティングやパフォーマンスなど様々な活動を行なってきたという。制作のベースには幼少期に惹かれた少女達の記憶があるのだそうだがそれは憧れなのか性的なのか曖昧な境界に存在しつつも「美少女」は作家自身が自分を応援するために描き始めたのだそうだ。画面いっぱいに女の子の顔を描くシリーズ「彼女の顔が思い出せない」のシリーズを中心とした作品はその時にしか描けない顔を描くために2014年から製作を始めた作品群だ。2020年の「アートフェア東京」に出展するために描かれたこれらの作品群はコロナウィルスの影響で中止となったフェアの影響で日の目を見ずに部屋の片隅に置かれたままになってしまった。そんな状況が今の時代の情勢を表しているかのように感じた作家は展覧会のタイトルを「ひあたりのわるいへや」と題した。またこの展覧会のために描き下ろした大きなサイズの少女の顔の作品「彼女の顔が思い出せない」は見えない敵と向き合わなくてはならない現在の不安な状況を表すかのようにブルーのみを使って描かれた。繰り返し描かれる少女の顔は丹念にそして卓越した技術で描かれていてとても見応えのある作品展となっていると思う。