天王洲にあるギャラリーANOMALYにてChimPomによる展覧会が開催されている。「May,2020,Tokyo」と「A Drunk Pandemic」という二つの展示からなるこの展覧会は常に野外で制作を続けてきたChimPomがコロナウィルスの緊急事態によって閉ざされ機能しなくなった東京の街へ目を向けたプロジェクトだ。コロナウィルスの世界的な流行によって延期となったオリンピックはそのスローガンである「Tokyo 2020」をそのままに2021年に延期となったがChimPomはそのスローガンの「Tokyo 2020」や「新しい生活様式」といったコロナウィルスによって生まれた言葉をサノアタイプ(青焼き)の感光液を塗った看板に記し東京の様々な地点に看板のように配置し「緊急事態下の外」を流れる時間を焼き付けるというプロジェクトを敢行した。雨や日光、影の揺らめきなど緊急事態宣言下でもそこに存在していた東京の外気の痕跡を時間とともに焼き付けたのである。一方の展示「A Drunk Pandemic」は19世紀にイギリスで流行したコレラで亡くなった人々が大量に埋葬されたマンチェスターの廃墟に「ビール工場」を設置しオリジナルビール「A Drop of Pandemic」を醸造したプロジェクトだ。詳細は展示とともに上映されるビデオなどを是非見てもらいたいと思うが驚くべきはこのプロジェクトは2019年のコロナ以前に行われたものだということでChimPomの「世界に起こるであろうパンデミック」に対しての予見的なアーティストとしての霊感のようなものを感じずにはいられない。来年に森美術館での展覧会にもこれらのプロジェクトが展示されるということである。

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