編集部の村松がここまで計7本のブログ記事をとおして、2026-27年秋冬パリメンズコレクションの模様をお届けしてきました。その締めとなる総論をここに残して、一区切りにしたいと思います。
露わとなるファッションの新潮流。
不確実な時代。これは先行きの読めない社会状況を指す言葉で、コロナ禍以降、ネットメディアやオールドメディアで繰り返し使われてきましたが、その終わりはまだまだ先のようです。先月開かれたパリ・メンズファッションウィークを取材して確信しました。
振り返ると、ファッションウィークの6日間、パリはほぼ毎日、たびたび雨が降る、どんよりした空。そのなかを朝から晩まで歩き回り、ランウェーショーやプレゼンテーション、展示会など50以上の会場を訪ねました。
この短期間にたくさんの新しい服と出会うなかで見えてきたのが、二つの傾向。黒の色使いとジャストフィットに近いシルエットです。
まず黒はこの色を全面に打ち出した〈コム デ ギャルソン・オム プリュス〉〈ジュンヤ ワタナベ マン〉〈コム デ ギャルソン・シャツ〉を筆頭に、〈サカイ〉〈アイム メン〉〈キコ コスタディノフ〉など多くのブランドで象徴的に使われました。
一方、ジャストフィットの代表はというと〈ジュンヤ ワタナベ マン〉〈ディオール〉〈オーラリー〉〈ポスト アーカイブ ファンクション (PAF)〉など。それぞれ極端なタイトまではいかないものの、近年のゆったりしたシルエットに比べるとだいぶコンパクトに映ります。
これらの傾向が生まれる背景にあるのは、人々に対してどこか緊張を強いるような世の中の状況かもしれません。その要因は、終わらないウクライナ戦争や、アメリカ大統領の予測不能な行動、大国同士の対立、気候変動による災害…。そして、服飾を主要産業とするフランスの政治の混乱もファッション界に閉塞感を招いているとパリ在住のエディターが話していました。
そういったなかで、〈ルイ・ヴィトン〉と〈ケンゾー〉がコレクションの舞台に “家” を選んだのも示唆的です。家は安らぎの空間であり、社会から離れられる場所でもあるから。上京する若者を主人公に、服をとおして家族愛を描いた〈ドリス ヴァン ノッテン〉もそれに近いものがあるかもしれません。
服はひとがつくり、着るものだからこそ、その時代のムードが表れるといいます。今回のファッションウィークで浮かび上がるものが、冬の時代を告げるサインではなく、新時代へ向かうための狼煙であってほしい、そう願うばかりです。

滞在期間中、唯一すっきり晴れた土曜日、「ルーブル美術館」近くの広場で楽しそうに演奏する若者たちの姿が印象的だった。






