BLOG - フイナム編集部

ドリス ヴァン ノッテンとアイム メン、常識を覆す服づくりの面白さ。

パリからお届けする2026-27年秋冬パリメンズコレクション。3日目は10時から19時まで1時間刻みで予定が入る過密スケジュールでした。現地で取材を行う編集部の村松が選りすぐりの情報をダイジェストでお届けします。

まず紹介するのは日本人シンガー、浅川マキの1969年の曲「夜が明けたら」をショーで流した〈ドリス ヴァン ノッテン(Dries Van Noten)〉です。

ジュリアン・クロスナーがデザイナーに就任して2シーズン目となる今回、服づくりのストーリーはファーストシーズンからの続きです。どういうことかというと、彼が初回に描いたのは高校を卒業する若者たちでした。あれから半年後、彼らは親元を離れ、大学へーー。

父から譲ってもらったコート、母から託されたフローラル柄の服、大好きなセーターやパーカ、なかなか手放せないスクールジャケット…大切なものをトランクに詰めて列車で大都市へと旅立つ。

そんな物語を反映した品々がランウェーに現れました。ひとつひとつ見ていくと柄やフォルム、素材が全然違いますが、あえてそれらを適当に組み合わせたようなラフな着こなしが素晴らしく、ジュリアンの自由な服づくりの面白さが伝わってきます。

コレクションのアイデアを温めるなかで、ジュリアンは昨年の来日時に聞いた浅川の曲がコレクションと結びつくことを知り、ショーに使ったといいます。

Photo_GoRunway

 

続いて紹介するのは、フランスの歴史的建造物のひとつで、1245年に学校として建てられた「コレージュ・ド・ベルナルダン」を発表の舞台に選んだ〈アイム メン(IM MEN)〉です。アーチ状の柱が並ぶ、荘厳な70メートルの身廊をランウェーに、ショーは叙情的なピアノの曲からはじまりました。

現れた服はたっぷり生地を使うことで生まれるドレープが美しく、独特なシルエットを描きます。その姿は修道士のようでもあり、この空間によくなじんでいるなと思って調べてみたら、「コレージュ・ド・ベルナルダン」はかつて修道士の教育の場だったというから納得しました。

FORMLESS FORM」をテーマに、一枚の布を起点に自由な発想のもとにつくられたといいます。クリエーションの巧者〈アイム メン〉の魅力に改めて気づかされる内容でした。

 

ファッションウィークで開かれるショーは規模も大小さまざまななのですが、〈アミリ(AMIRI)〉には毎回、招待されたセレブリティたちを一眼見ようと、会場の入り口にたくさんの若者が集まります。日本のショーではなかなか見れないこの光景はパリコレならではです。

そして、会場に入ると目に飛び込んできたのは、巨大な本棚の舞台演出。ランウェーには形の違うソファーが並び、リビングとも書斎とも受けて取れる空間がつくられていました。そこにはメンズのフォーマルなウェアが特別なシーンはもちろん、日常生活にもなじむことを伝える〈アミリ〉の意図が。コレクションの回数を重ねるたびにこのブランドのラグジュアリースタイルは進化しているように感じます。

次は東京からパリに乗り込んだ〈ヨーク(YOKE)〉です。ここでのファーストコレクションは、演出を極力排した真っ白な空間がランウェーだったこともあり、仕立てのよさが触らなくとも視覚から伝わってきました。モデルたちが歩く姿を見ていると服がブランドの世界観と共に自然と浮かび上がってくるというか。

コレクションのインスピレーションソースは、彫刻家で画家のジャン・アルプ。彼が作品に込めたシュルレリスムの美学や制作プロセスを多面的に解釈しています。

 

洒落た店が集まるマレ地区でプレゼンテーションを行なったのは〈タトラス(TATRAS)〉です。空間全体を今季のキーカラー、オレンジで覆い、上から柱が伸びるトルソーに新作を着せていました。〈タトラス〉といえば秋冬シーズンに強いことでも有名ですが、今回はミリタリー感のある実用性の高いアウターが豊富。クラシックとモダンが共存する新作は、さまざまなカジュアルスタイルの味方になりそうです。

 

そして、最後に紹介するのは〈バウルズ(vowels)〉です。プレゼンテーション形式で発表した今回は「Perfect Day」をテーマに、同じ時間でも時差のある4つの場所それぞれの若者たちの日常を描きました。

NYは公園、京都はカフェ、LAはベッドルーム、パリはバス停。この4つの街は〈バウルズ〉を指揮する八木佑樹とチームが活動する場所です。

コレクションはこれまでの服づくりをさらに深化。気兼ねなく楽しめるタイムレスなファッションを上質な素材使いやユニークなグラフィックを通じて表現した内容になっています。どのスタイルも親しみやすいところが〈バウルズ〉のよさだと改めて実感しました。

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