
1989年、千葉・柏の駅の賑わいから距離を置いた住宅街にフリークス ストアの路面店がオープン。
私が生まれるよりも前のことでした。小中高の時代を柏で過ごした自分にとってはこの店がファッションの世界、とりわけアメリカンカルチャーへの入口となりました。
フォーマルウェアの業界にいながら休日は専らアメカジ人間であった父に連れられて小さい頃から店を訪れ、中高生になれば自ら足繁く通いました。古着や家具の取り扱いも多く、雰囲気のある個性的なショップでした。
当時はてっきり地元密着のお店と思っていたので、キャットストリートに綺麗なフリークス ストアがあるのを初めて見た時にはとても驚いた覚えがあります。
何もなかったエリアにフリークス柏ができて以来、その周辺に少しずつ古着屋や飲食店が集まりはじめ、エリア一帯の雰囲気が変わっていきました。いつしか裏原にならって裏柏(ウラカシ)と呼ばれるようになったこの地域は今日まで街の人々によって盛り上げられています。
一方、フリークス柏は元々の路面店に加え駅前の高島屋にも入居する2店舗展開に。柏におけるフリークス ストアのプレゼンスの大きさを感じさせるものでした。
そのような環境の結果か同業他社には目もくれずフリークス ストアの門を叩いた私は幸運にも入社を許されるのですが、その矢先、すれ違いのように懐かしの柏路面店はなくなってしまいました。
しかし、フリークスが去った後の裏柏でも「フリークスで働きはじめた」と言えば必ず優しくしてもらえて、かつての路面店が、その歴代のスタッフの方々が時間をかけて築いた信頼の強さを実感していました。
土臭くて店内を歩けば床板の軋む音がするような、もうそういうお店ではないけれど、柏駅の高島屋にはまだフリークスが残り、89年からの系譜を繋いでいました。

何年ぶりかわかりませんが、先日その高島屋のお店にお邪魔してきました。
若いスタッフがほとんどの中に、前からよく知っている同年代の先輩がひとり。自分と同じように学生時代を柏で過ごし、昔のフリークスに通って育った先輩です。柏におけるフリークスの特別さを肌で知っている現役の店員さんはもう彼女だけかもしれません。
今度の週末に柏高島屋にあるフリークス ストアは閉店するそうです。それをもって柏の街からついにフリークスがなくなります。
広く見れば、多店舗展開しているチェーンストアが地方都市の小型店舗を閉店するというだけのよくある話。しかし私たちのような者にとっては、大きな存在の歴史の終わり、時代の終わりのような感傷があります。
裏柏の始祖だったこと、30年以上前から街と多くの人々の行く末に大きな影響を及ぼしたこと、若いスタッフの方々は知らないかもしれないけれど、外から少しばかりそのことに思いを馳せていようと思います。
長きにわたりお疲れさまでした。