BLOG - 小牟田 亮(エディター)

再びブログ。

2025年が終わろうとしています。

今年はありがたくも出張が多い年で、たくさんの未知に触れることができました。なにをするにせよ、インプットは大切です。自分の興味の範疇内だけに留まらないように、つねに好奇心旺盛でいたものです。

久しぶりにブログを書き始めたのにはふたつ理由があって、何名かのフイナムブロガーの方々が同時多発的に記事をアップし始めたことに触発された、というのがひとつ。

そしてもうひとつは、結局ブログというフォーマットは強いのではないかと思い直したこと。動画全盛の時代ではありますが、それはそれ、これはこれ。AIが生み出すような、悪い意味で立て板に水のような文章ではなく、ゴツゴツしていたとしても、想いが宿った文を綴っていきたいと思います。

———

以下は、12月に配信した株式会社ライノのニュースレターのために書いた文章ですが、こちらでも公開させていただきます。

それでは来年もどうぞよろしくお願い致します。

———

進化する広告のカタチ。

今年の5月にノルウェーを訪れる機会に恵まれた。ノルウェーと日本の国交が始まって120周年ということで、〈ヘリーハンセン(HELLY HANSEN )〉が主催したメディアツアーに「AH.H」にて参加させていただいたのだ。ファッション関係の出張だと、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスあたりが定番なので、北欧方面を訪れる機会というのはなかなかに貴重な機会である。

今回の出張の目的のひとつに、ノルウェーという国に対しての理解度、解像度を上げるというものがあった。というのも、日本において北欧諸国はとかく一緒にされがちで、〈イケア(IEKA)〉はスウェーデンだし、ハンス・J・ウェグナーはデンマークで、サウナはフィンランドなのだ。ノルウェーと言われてすぐに思いつくものは、サーモンくらいではないだろうか。

そんなわけでノルウェーという国の輪郭をはっきりさせるべきく、ファッションのみならず、生活全般のあれこれに触れてきたのだが、取材を進めるなかで多くの人から出てきた言葉で印象的だったのは「この国は油田で利益を上げている」ということだった。寡聞にしてそれすらも知らなかったのだが、1970年代に北海油田が発見され、それから今に至るまでに莫大な利益を上げ続けているのがノルウェーという国なのだ。

「油田で儲けているのに、EVを推進しているっていうのがこの国の面白いところなんだよね」と自嘲気味に語ってくれたひとがいた。

調べてみるとノルウェーでのEVの普及率はヨーロッパはもちろん、世界でもトップクラス。たしかに街を走るクルマのほとんどがEVで、路面電車などもすべて電気じかけだった。街中の空気が澄んでいて、騒音が控えめなのは間違いなくこのことに由来していると思う。

一方でEVの限界について論じられる記事を見ることも増えた。かつて多くのメーカーが掲げた「2030年に100%EV」という目標は、近年になって現実と向き合わざるを得ない事態となっている。大きな物事を推し進めるときは、徐々に進んでいくしかないんだなということを、我々はいままさに学んでいる最中なのだろう。

それと印象的だったのは、街中に広告が少ないこと。都市部の街全体が広告媒体である日本と比べると、広告を置く場所をかなり限定しているのだ。そのひとつがバスや路面電車に設置された広告スペースである。

これは近年日本でもかなり普及し始めており、今年携わらせていただいたスポーツライフスタイルショップ「オッシュマンズ(OSHMAN’S)」のビジュアルも、都内各所のバス停広告に掲出させていただいた。

フランスで生まれたというこの広告媒体は、今一番の注目株で、ラグジュアリーブランドを中心に、活況を呈しているそうだ。バスや路面電車を待つ時間はずっとその広告に接触させ続けることができるわけで、なるほどよくできているなと感心した次第。

普段、街を歩いているだけでは気づかないというか、考えもしないことに思いを巡らせることができるのが、旅、旅行、出張のよいところ。「発想力と移動距離は比例する」とはよく知られた言説だけれど、本当にその通りだと思う。来年も動き続け、考え続けていきたい。

UPDATE BLOG

ブログトップもっと見る