BLOG - フイナム編集部

Day 1:Paris Fashion Week 2025AW

編集部の常重が現地からお届けする、パリメンズファッションウィーク。

ドタバタで始まったパリ出張。相変わらずシャワールームの排水溝の調子は悪く、不便極まりないです。昨日ホテルのフロントに言ったんだけどな…。どうやら簡単には直らないみたい。

そんなことはさておき。この日の予定は〈ザ・ロウ(THE ROW)〉の展示会から。パリ1区に位置するブランドのショールームへ向かいます。ちなみにぼくたちの宿泊先も1区なので、朝の澄んだ空気と朝日に照らされるパリの“らしい”街並みを楽しみながら徒歩で会場へ。

展示されていたのは秋コレクション。

晩夏〜初秋にかけてのライトウェイトなアウターはもちろん、カシミヤ、カーフレザー、細畝のコーデュロイなど、ワードローブとしての着やすさ、そして着回しのしやすさを考えられたアイテムが並んでいました。

ルックで気になったのがプレッピースタイル。〈ザ・ロウ〉がプレッピー…。クワイエットラグジュアリーの象徴として一貫してエレガンスさを追求しながら、ディテールのエキセントリックさに毎度驚かされているわけなのですが、そんな〈ザ・ロウ〉が辿り着いたひとつの新しい提案がプレッピーだといいます。いやぁ…あらためて美しい。本当に美しい。

次に我々が向かったのは、パリ16区にある美術館「Palais de Tokyo」。〈シュタイン(ssstein)〉のパリ初となるショーと、その裏側の取材が目的です。

会場の外観はこんな感じ。

昨年9月に「FASHION PRIZE OF TOKYO」の第7回受賞ブランドに選出され、その支援を受けてのパリでの初のショー形式でのコレクション発表ということで、今回特別にバックステージに入らせてもらいました。

ショーの裏側というのはブランドによって本当にさまざま。ある意味、ブランドそのものを表していると言っても過言ではないかもしれません。そういう点では、〈シュタイン〉のバックステージはブランドの静謐な美と強さを投影したかのような、心地よい張り詰めた静寂に包まれていました。

ここでは個人的に気になったルックをピックアップして紹介します。

バックステージの様子、デザイナーの浅川さんへのインタビューなど、後日公開される特集記事に乞うご期待! 

続いて向かったのは〈オーラリー(AURALEE)〉のショーと〈プロトタイプス(PROTOTYPES)〉のプレゼンテーション。

まずは〈オーラリー〉のショーの様子からどうぞ。照明がパッと点くと(おそらく…?)サックスの音色が流れ出し、幅広い年齢層のモデルたちがランウェイをゆっくりと歩き始めました。

ブランドのシグネチャーであるミニマルなエレガンスを軸に、ノスタルジーやヴィンテージの要素をモダンに融合させた創造的なコレクション。ぼくがとくに気になったのはレザーでした。

“過去と現在が調和して未来の大切な宝物へと繋がる、新しい価値観を提案しています”とデザイナーの岩井さんが語るように、まさに着込むごとに馴染んでいくような、ともに歳を重ねていきたいレザージャケットの連続に目を奪われてしまいました。

お次は〈プロトタイプス〉。新作と〈アルファ インダストリーズ(ALPHA INDUSTRIES)〉とのコラボレーションのお披露目も兼ねていたというプレゼンテーションは、衝撃的な演出でとても印象に残っています。

室内一面に敷き詰められた枯葉。そしてそこで横たわる、今回のアイテムを着用したモデル。さらに外を歩けば、パリの街並みにゲリラ的に映し出される映像。アップサイクルブランドとしてやはり頭ひとつ抜けている気がします。アイテムも演出も。

そしてこの日最後の予定は〈キディル(KIDILL)〉のショー。なんと先陣を切って登場したのは日本の和楽器集団・切腹ピストルズでした!

聴き馴染みのある音色に耳を澄ませていると、モデルたちが足早にランウェイを歩き始めます。

『TUNE』や『FRUiTS』でよく見ていた、1990年代後半から2000年代初頭にかけての東京・原宿のパンクを彷彿とさせるような、守りの要素は一切ない、極めて攻撃的で刺激的、そして自由なコレクションが次々と披露されました。

極めつけは、1982年に東京で誕生し40年以上にわたってオルタナティブ・シーンの重要な磁場として機能してきた原宿の伝説的ショップ「A STORE ROBOT」とのコラボレーション。デザイナーの末安さんにとってこの協業は、「本物」を通じたオーセンティシティの再考を促すものになったと言います。

ショー後も切腹ピストルズの演奏は続き、会場の全員を魅了していました。パリで和楽器の音色が聴けるだなんて思ってもみなかったな。

そんなこんなで幕を開けたパリメンズファッションウィーク。1日目から相当濃い時間を過ごさせてもらいました。明後日くらいからずっと雨予報なので、そこだけどうも心配です。

では、また。

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